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【ビデオ】パキスタン 洪水の後で:債務と土地の権利への懸念

2010年11月17日

土地を割り当てられていたシンド州の農家の女性たちは、土地と家を守るために、故郷に戻ることを切望しています。オックスファムのスタッフ、キャロライン・グルックが、被災した人々の声をお届けします。



ナイマ・アフメド(Naimat Ahmed)さんは、洪水被害の一番大きかったパキスタンシンド州のThatta区の村でコメを栽培していました。ナイマさんは、水と泥を掻き分けながら、まだ水に浸かっている家を見せてくれました。泥壁の草ぶきの質素な家の扉をあけると、中は泥に埋もれていました。地面が乾くまでは家に戻ることはできず、今は他の村人とともに、野外の木の杭に木綿の布をかぶせたテントで暮らしています。ナイマさんと村の女性たちは、自分たちの土地を守るために少しでも早く戻ると決心しています。

「ここは私たちの土地です。もし私たちがすぐに戻らなければ、誰かが勝手に住み込んで、家に残った財産を勝手にとるのではないかと心配です」とナイマさんは話します。
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「ここは私たちの土地です。もし私たちがすぐに戻
らなければ、誰かが勝手に住み込んで、家に残った
財産を勝手にとるのではないかと心配です」とナイ
マさんは話します。              
Photo: Caroline Gluck/Oxfam

ナイマさんが、ここまでして財産を守りたい、というのには理由があります。土地無し農民だったナイマさんは、今年はじめシンド州政府の土地再配分政策により、4エーカー(約4800坪)の土地をもらい受けました。この政策は、南アジア地域初の試みとして、政府所有地を土地の無い女性農民に提供するもので、受益者が貧困から脱し、農村での社会的な変化を起こすことを目指すものです。

シンド州の土地の大半が、少人数の、裕福で政治的に影響力を持つ人々に所有されている一方で、6割の人々が土地を持っていないと推測されています。今回の大洪水は、洪水前から貧困の元に暮らしていた人々の家屋や畑、家畜を飲み込み、人々は充分な食料、住む場所、仕事がないまま、債務だけを抱えることになりました。

ナイマさんは「土地を得て、はじめてのコメが収穫できるはずだったのに、収穫直前で洪水に襲われました」と話します。「全てが破壊され、また畑が使えるようになるまで7-8ヶ月かかります。どのように食料を手に入れればよいかわかりません。畑が使えるようになっても、種や肥料を買うためのお金がありません。今は、お店からお金を借りて、借金がある状態です。生活は苦しいです。」

シンド州の大半では、未だ水がひかない状態が続いています。

家屋が壊れ、倒壊し、100万人以上が家に戻れないでいます。今まで土地を区切っていた灌漑用水路が破損し、土地の所有権を記録した書類が流されているため、人々が村に戻ったときに、土地の所有権をめぐって争いが起こることが懸念されています。
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Aasi Mallaさんは、州政府から4エーカーの土地を
受け取った後、その土地の所有を主張する同じ
村の人々によって暴力を振るわれました。    
Photo: Caroline Gluck/Oxfam

洪水前から土地をめぐる争いが起こっていました。シンド州の土地再配分政策の第一段階において深刻な対立があり、汚職や、親類への優遇などが指摘されていました。

6人の子どもを持つAasi Mallaさんは、州政府から4エーカーの土地を受け取った後、その土地の所有を主張する同じ村の人々によって暴力を振るわれました。「土地は神からの贈り物です。しかし、多くの人が集まって私たちを脅しました。彼らは私たちを殴りました」と話し、娘の顔の傷を示しました。

Aasiさんとその家族は、村を追われ、今は夫の前の地主が所有する小さな土地に暮らしています。Aasiさん一家は、法廷で決着をつけることを決心しました。オックスファムとパートナー団体のParticipatory Development Initiatives(PDI)は、Aasiさんや、同じように土地の争いに悩む女性たちに法的支援をすると共に、シンド州の人々に土地再配分政策のもとでの土地の所有権についての普及啓発活動を続けています。

オックスファムやパートナー団体の政府への働きかけにより、争いの幾つかは収まりました。洪水の被害があったにもかかわらず、シンド州政府は、土地再配分政策をさらに大規模に実施していくことを約束しています。

「パキスタンでは、女性には所有権がほとんど認められていません。」と、オックスファムのパートナー団体、PDI女性土地プログラム担当のSaima Hassanは話します。「シンド州政府の土地再配分政策は、歴史的なできごとです。争いがあっても、再配分の権利を有する女性たちが確実に土地を得られ、小作人から地主になれるように活動しています。」

この政策がシンド州だけでなく、パキスタンのほかの地域でも広がり、貧困に苦しむ農家が、今まで何世代も小作人として耕していた土地を所有でき、貧困と債務の悪循環が断ち切られることが望まれています。


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