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COP15の分析: 今後に向けて

オックスファム・インターナショナル

COP15の分析:今後に向けて

コペンハーゲンで行われた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、会議前の期待の高さに反して、効力のある合意を採択することに失敗した。最終日の最終局面に入って米国、南アフリカ、インド、中国が提案した大変弱い内容の協定案に対して、いくつかの途上国が空虚な約束であるとして否定的な姿勢を示した。実際、この協定は実質的な行動を保証するものではなく、良く解釈しても貧困国が気候変動対策に必要とする資金のほんの一部を約束したに過ぎず、温室効果ガス排出量の削減に関する重大な決定を2010年に持ち越した。

ロバ―ト・ベイリー  オックスファム・インターナショナル スポークスパーソン:
「2年間の厳しい交渉の末、期限内に結論を出せなかったことは恥ずべきことです」
「世界の指導者たちはコペンハーゲンで、世界が求める公正で野心的な、拘束力のある協定を結ぶチャンスを手にしていました。しかし、協定案に関する交渉が進むにつれ、公平性は投げ捨てられ、野心度は弱められました。早朝には、法的拘束力を伴った協定に対する希望は砕かれました」

「このサミットを成功させるにはもう手遅れですが、この星と人類を救う時間はまだあります。我々には、2010年に法的拘束力を持つ協定の締結に向けてまい進する以外に選択肢はありません。そのためには、いままでのような交渉姿勢は通用せず、各国は迅速で、決定的かつ野心的な動きを見せる必要があります」

1. 交渉行き詰まりの背景:
サミット期間中の混乱には大きく分けて2つの理由がある。ただし、その原因は少なくともバリ行動計画の導入時までさかのぼる必要があることを認識する必要がある。

(1)交渉プロセスについて
会議に臨むにあたって、誠実な姿勢を持たずに来た国が数カ国あった。一般的にいって、化石燃料に対する巨大な既得権益を抱えている国や、短期的な国際競争力の確保のみを目指してきた国が当てはまる。これらの国が、交渉の足を引っ張る形となった。

議長国であるデンマークは、大変不適切な進行を行った。多くの国がいわゆる「Friends of the Chair」グループから排除され、このグループへ参加国の選定も密室で透明性を欠いていた。そ のため、多くの国の首脳は、準備会合までに実現しなかった突破口を提案する機会も与えられず、演壇から自国の立場を演説する形で交渉するという異様な状態に陥った。

交渉は早朝に入って決着した。少数国による閉じられた二国間交渉を通じて「合意」が結ばれ、その後、疲れ果てた貧困国代表団に押しつけられた。

このプロセスが崩壊したことを受けて世界は、「少数の国が全体の承諾なく合意案作成を詰め、他の国は黙って署名すればよい」とされた時代はとうに終わっているということを認識する必要がある。2010年に交渉を再開する際、主要国はこれまでの交渉戦術を大きく変更する必要があることに気づかなければならない。

気候変動問題に関しては、各国は自国の譲歩を最小化しようとする「競合的交渉」型ではなく、科学に基づき、たとえば複数の交渉ブロックからメンバーを招いた混合型のグループで問題解決型の議論をするなど、「協力行動」型プロセスに移行する必要がある。この問題の複雑な性質を扱うためには、UNFCCC交渉プロセスが大きく改革される必要があることは明白だ。

サミットが最終局面に入るに従って、NGOなどの多くの「オブザーバー」たちが会議場への入場を禁止された。このような会議において主催者が治安を懸念することは当然だが、事前準備の段階で、会議の透明性と正統性を確保するために市民社会その他のオブザーバーの存在が必要であることを念頭に置いていなかったことは、弁解の余地がない。

(2)内容について
先進国(付属書I国)は会議に向けて十分なオファーを携えてこなかった。

貧困国向けの長期的な温室効果ガス排出量の削減と適応支援として年間1000億ドル、最脆弱国向けの短期適応支援として年間300億ドルが提示されたが、多くの条件や抜け穴がある。

●1000億ドルという額は目標にすぎず、約束額ではない。貧困国にとって、自国の排出量を減らし、かつ気候変動の影響に適応するために必要な資金を得られるという保証はない。
●1000億ドルは必要な金額の半分にすぎない。不足額が発生することで、南アジアやサハラ以南のアフリカで気候変動によって引き起こされるマラリアや下痢を防止するために必要な年間15億ドルが届かないということになるかもしれない。
●この1000億ドルが、既存の援助公約に対して追加的であるという保証はない。つまり、このお金を気候変動資金として調達することで、貧困国の学校や病院から資金が引き上げられる可能性があることを意味する。
●この1000億ドルは、公的資金でない可能性がある。公的資金が提供されなければ、必要としている人々に必要な時、必要な場所で届くことを確保することができない。

先進国が提示した温室効果ガス排出量削減目標はあらゆる意味で科学に基づいていない。負担配分に関する基準を持たず、目標の妥当性を検証するトップダウンのプロセスもないまま中期目標に合意するやり方は、深刻な問題をはらんでいる。現行のままの、プレッジと検証を柱とする自主的なアプローチは、負担配分の衡平性を損ない、科学が要請する排出量削減が実現するという保証も伴わない。先進国の現行の排出量削減のプレッジは抜け穴を多く抱え(代表的なものは、過剰な「ホット・エアー」、土地・森林利用に関する緩慢な会計ルール、航空・船舶燃料の除外など)、このままでは地球の気温を3.9℃上昇させる見込み。この規模の気温上昇は脆弱な立場に置かれた人々にとっては、壊滅的な影響をもたらす。

一方、途上国の中には、提案や譲歩案を用意してきた国もあった。中国は計測・報告・検証可能(MRV)な行動を、ブラジルは途上国による資金的貢献を、そして南アフリカは排出削減について提案を持ち寄った。何も対策を取らない場合に比べての削減量でみると、いくつかの途上国の削減案は先進国のそれよりも野心的であった。

世界の指導者たちが強力な協定を結ぶことに失敗したことで、「コペンハーゲン前」と「コペンハーゲン後」に大きな変化はなく、いくつかの強力な提案はこの間に失われてしまった。しかしながら、完全なる協定が結ばれなかったということは、協定案にあった役に立たない箇所(たとえば気温上昇を2℃未満に抑えるための明確なコミットメントが欠如している部分)についてもまだ変更の余地があるということを意味する。もうひとつの積極的なアウトカムとしては、「京都議定書」と「長期的協力のための行動」の2枠を盤石化したことによって、2010年の議論の土台としてより扱いやすい文書に落ち着いたことが挙げられる。

2. 当面の課題
アメリカのオバマ政権にとって、中国と合意を結ぶことは、国内の気候変動対策法案を推進するうえで強力な武器となる。しかし、コペンハーゲン協定に対する完全なる合意のほうが、よりその効力を持ったであろう。その一方で、コペンハーゲンを覆った米国に対する敵対的な空気は、米国内の気候変動会議派や反多国間協調派を勢いづかせる可能性もある。米国外に目を向けてみると、コペンハーゲンで明らかな成功を収められなかったことで、次回の気候変動会議への参加を渋る首脳も現れるかもしれない。

気候変動交渉は次回も失敗するのではないかという雰囲気が広がるなか、参加国に交渉に戻るよう促すのは困難を伴う。各国間の不信感はコペンハーゲン以前よりも深まっている。信頼回復と機運の再醸成が、今後数ヵ月間の大きな課題となるであろう。

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