オックスファムは、世界90カ国以上で貧困を克服しようとする人々を支援し、
貧困を生み出す状況を変えるために活動する国際協力団体です。

OXFAM TODAY 活動情報

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COP17「ダーバン・プラットフォーム」
合意内容乏しく、気温上昇4℃へ向けて無自覚に進む世界

予定より2日遅れ、COP史上最長となったダーバン会議は閉幕しました。

各国政府代表は、最低限の合意をどうにかまとめ、交渉の決裂をかろうじて回避したといえます。「緑の気候基金」は運営開始の目処がついたものの、具体的資金源は示されないままです。4℃の気温上昇を回避するための道筋は残され、京都議定書の第二約束期間も設定されましたが、一部主要国は2013年以降の削減義務を受け入れませんでした。

「貧乏人には炭素でも食わせておけ」
乱暴な言い方ですが、COP17の結末は、世界中で気候変動の影響で 貧困と飢餓に苦しむ人々に対してこのようなメッセージをつきつけたに等しいでしょう。

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最終日メディア向けパフォーマンス「LET THEM EAT CARBON」より


オックスファムがダーバンに求めたもの
オックスファムが今回の会議に求めた内容を簡単にまとめると、次のようになります。

1.これまでの取り組みを強化すること
京都議定書の第二約束期間になるべく多くの国が参加すること

2.これからの道筋を立てること
全ての国が、法的拘束力のある削減義務を受け入れ、世界の気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標に向かい、各国が相応の削減を負担する形で、それぞれの削減目標を強化すること

3.今のニーズに応えること
「緑の気候基金」の速やかな運営開始に目処がつき、(金融取引税や国際船舶による排出に対する炭素課金など)気候資金の新たな財源が特定されること



内容に乏しい合意
欧州連合(EU)は、気候変動への国際的取り組みの基盤で、アフリカ諸国が強く求めた
京都議定書の第二約束期間への参加、という重要な一歩を踏み出しましたが、
日本をはじめとした他の主要国は不参加の立場を最後まで崩しませんでした。次期枠組み
が未定である以上、現状としての世界の気候変動対策は後退したと言わざるをえません。

EU、米国、ブラジル、南アフリカ、インド、中国を含む将来の枠組みの法的形式
に関する議論では、共通の理解へ向けて重要な進展があったといえます。
しかし、将来的に大幅な削減を設定する道筋は示されず、2015年までに交渉を終らせ、
2020年の発行を目指すという先送り感の否めない時間軸の設定となりました。

「緑の気候基金」の運営開始について目処が立ったことは歓迎すべきことです。
また、その資金の運用に関して、受け取り側である途上国のオーナーシップ(主体性、
自己決定権)や、ジェンダー格差に配慮するとした原則が合意されたことなども大きな成果です。
しかし、この基金に投入すべきお金の具体的財源が特定されなかったため、基金は実質的に
空箱の状態にあり、気候変動への適応を現在強いられている脆弱国の深刻な事態は放置されることを意味します。
つまり、京都議定書の延長と、全ての国が参加する次期枠組みへの道筋、という体裁は
保たれたものの、地球の気温上昇を2℃未満に抑え、すでに現れている気候変動の影響に
対処するための行動の強化という目的に照らせば、あまりに弱い内容だと言わざるをえません。


責任の所在は明らか
こうした結果の責任は、終始一貫して交渉の足を引っ張った米国、カナダ、日本、オーストラリア
などの国にあることは明らかです。「緑の気候基金」の具体的資金源を特定できなかったことも、
新たな枠組みへ向けて野心的な排出削減の目標と期限を明記できなかったことも、米国による妨害の結果です。気候変動の影響に直面している人々にとって、法的拘束力のある現状唯一の枠組みである京都議定書の延長期間への参加を拒んだ日本などの国の責任も重大です。


世界の最貧層の人々に対する影響
ダーバンでの乏しい合意は世界中の貧しい人々にとって深刻な結果をもたらすことが予想されます。各国がこのまま無自覚に気温上昇4℃の世界に突き進めば、異常気象による自然災害の増加、作物生産量の減少、食料価格の高騰などにより、貧困と飢餓はさらに助長され、貧しい農家にとって壊滅的な打撃となることが危惧されます。


大幅な削減が急務
各国が温室効果ガスの大幅な削減へ向けた具体的目標を設定し、その達成へ向けてすぐに
着手しなければ、今回の合意は気候変動対策を実質的に10年近く(2020年まで)棚上げした
ことになります。気候変動対策において世界を大きく前進させるために、2012年に開催される
「リオ+20会議」(国連「持続可能な開発会議(地球サミット)」)を活用する必要があります。


活動:調査提言(アドボカシー)
分野:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)
国: