オックスファムは、世界90カ国以上で貧困を克服しようとする人々を支援し、
貧困を生み出す状況を変えるために活動する国際協力団体です。

ホンジュラスでの事業活動報告

オックスファムは、中小企業支援プログラム(EDP)を通して、人々が自らの力で貧困から抜け出すための支援を行っています。2008年に事業を開始して以来、17か国で23の支援プロジェクトを実施してきました。オックスファム・ジャパンは、2011年に事業に参画しました。今後、プロジェクトは2期目に入り、実施国をルワンダ、ホンジュラス、バングラデシュ、エチオピア、ネパールの5か国に集中して継続していきます。今回は、この中から、ホンジュラスでの活動を中心に紹介します。

中小企業支援プログラム(EDP)とは?
中小企業支援プログラム(EDP)は、途上国で貧困の渦中にいる農業や小売業などを営む中小規模の企業活動に対して、融資や研修を通じて支援することで生産性や所得の向上を促し、彼らが貧困から自らの力で抜け出すことを目的としたプロジェクトです。また、融資や研修だけでなく、オックスファムが委託する起業や投資のプロの知見を動員し、起業家となりうる人々が現実的で妥当な事業計画を立て、事業を展開できるようさまざまな支援を行っています。また、収入面での支援に加え、途上国の、特に農村部などで地位が低い女性の社会・企業活動への参加を奨励することで、男性との格差の解消にもつとめています。

収入や収穫高が増えると、十分な食料を確保できるようになるだけでなく、教育や医療にもアクセスできるようになります。オックスファムは長期開発支援の経験に基づいて、こうした支援を最も必要とするコミュニティを特定し、現地の組織と協働しながら、貧困削減や生活水準の向上など、社会的な開発効果をしっかりと確認していきます。貧困に苦しむ人々自身の能力と可能性を引き出す手助けをすることで、一時的ではない持続可能な形で貧困から抜け出せるようにする支援プログラムがEDPなのです。

2015年 EDP活動実績 ハイライト
2015年は、下記のような活動実績をおさめることができました。
・1年間で27,000人近くの農家がEDPの支援を受け、収入を増やすことができました。
・ネパールの農業組合パビトラの野菜の種の栽培・販売事業では60%収入が増加しました。
・ルワンダのシェキナでは企業活動に関わる女性の人数が200名から1,000名に増えるなど、EDPで支援している事業スタッフに占める女性の割合が全体の50%へと増えました。
・2014年の全事業収入の8割を、2015年の最初の8ヶ月で達成することができました。

ホンジュラスでの活動について
ホンジュラスは、ラテンアメリカでも最も貧しい国の一つです。2009年からEDPを開始し、現在は複数の農業関連の事業に投資しています。最初の支援先であるAPROALCEは、野菜や果物の生産・取引を行う地元の組合です。つづいて、2014年に、野菜の生産を行うCAEOLへの支援を開始しました。2015年、3つ目の支援先として選んだのがオーガニックのカシューナッツに特化するCREPAIMASULです。オックスファムは、現地の行政プログラムや金融機関と連携しながら、現在この3つの組合への支援を行っています。

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左から、APROALCEに参加する農家のアンヘル・ロペスの自宅、メイズ畑を案内するアンヘル

ホンジュラス EDP活動実績 ハイライト
ハイライト①:APROALCEの成果
2015年度、APROALCEの月の売り上げは昨年から平均15%増加しました。2013年に米国向けのブラックベリー市場の一部を失ったことで落ちた売り上げを回復しつつあります。オックスファムは、融資残高の50,000ポンド(約780万円)の返済期間を2017年まで延長することで合意しました。

ハイライト②:新たな支援先CREPAIMASULの可能性
CREPAIMASULは、ホンジュラスの中でも雨も少なく、環境の厳しいチョルテカ県のコレドール・セコで活動する農業組合です。厳しい自然環境ながら、カシューナッツ栽培の適正と可能性が見込める地域でもあります。CREPAIMASULは、2006年の設立以来、着実に成長してきました。2014年の売上高は84,000ポンド(約1300万円)までになり、米国ならびにヨーロッパ市場向けのオーガニックカシューナッツの生産販売を行う組合として地域で1,2位を争うまでになりました。一方で、安定した成長と市場を確立していくためには、加工過程、品質管理、管理経営能力に課題が残ります。オックスファムは、90,000ポンド(約1400万円)の支援(うち返済が必要なローンは39,000ポンド(約600万円))を決定しました。組合は、参加する生産者の女性の比率を高め、女性や若者の雇用を積極的に行うことを約束しました。

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左から、APROALCEに加入する農家のアンヘル・ロペス、APROALCEで経理を担当するドリス・ヴェラスケズ・デ・ディオス、APROALCEの全体責任者のセザール・サントス

APROALCEで経理を担当するドリス(25歳)
私の主な仕事は経理です。農家への支払いや燃料、機材の経費や、お給料、税金などの処理もしますし、スーパーから売上の回収などもやります。経理担当とは言っても小さな組織なので、仕事の範囲は幅広く、この事業全体の流れを理解していると思います。時には野菜の選別や梱包作業の監督も行います。

この仕事に就いて2年になりますが、仕事は本当に楽しいです。実家は農家なので、農業についてはそれなりに知っていたけれど、経理や会計については、数学が好きで興味はありましたが、知識がありませんでした。オックスファムが農家の子どもたちに専門スキルのトレーニングをすると知って、私はすぐに手をあげました。

そうやって会計について学ぶ機会を得て、学校を卒業することができました。毎日、片道2時間歩いて市内の学校に通うことは大変でした。けれども、学ぶことで、周囲の人たちが私をプロフェッショナルとして扱ってくれるようになり、仕事の機会が巡ってくるようになりました。私は、今の仕事が大好きです。細かい数字を扱うのも、こうした仕事に要求される正確さも私に合っているのだと思います。1レンピラ単位で(注:ホンジュラスの通貨)何にどのようにそのおカネが使われたのか、そしてそれをどのように回収すべきなのかを把握しています。

このあたりでは、学校に通うことやトレーンニングを受けられること自体が珍しくて、みんな仕事を見つけるのに苦労するのですが、私はこのような機会を得られて本当に恵まれています。オックスファム、そしてAPROALCEのサポートがなければ、私の人生は全く違うものになっていたと思います。きっと、結婚して子どもを産んで、仕事はしていなかったと思います。それがこのあたりでは、普通なのです。

私は今、子どもを一人育てています。自分の子どもではなくて、彼女が生後22日の時に養子に迎えました。実の両親は貧しく、もう一人子どもを養う余裕がなかったので、その子のことを思って私に彼女を託しました。私は、彼女のことを自分の子どものように思っています。仕事で得たお給料を貯金して、いつか自分の土地を持ちたいと思っています。

オックスファムを通して、仕事の面だけでなく、個人としても大きく成長できたと思います。家庭やコミュニティの中でのリーダーシップや、自分への自身を持つことができました。もちろん、みんなが夢見るように、私もいつか夫を見つけたいです。子どもは二人。そして自分の家もいつか持ちたいと思います。そういう夢もいいけれど、とにかく今を一生懸命生きたいと思います。私は本当に多くに恵まれています。あとのことは、神様にゆだねます。

皆さまのご支援のおかげで、多くの人々がドリスのように貧困から抜け出すために支援活動を行うことができました。EDPが支援してきた全事業の収入合計は累計で約1億2千万円にのぼり、2016年末には1億5千万を超える見込みです。今後も、オックスファムはEDPを通して、貧困や社会的に弱い立場にいる人々が自らの力で立ち上がるための支援を行っていきます。

活動:長期開発支援
分野:食料と土地
国:ホンジュラス