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12月9日開催の連続セミナー報告: 「誰も置き去りにしない!福祉農園の経験から考える全ての人が一緒に暮らす世界と農業」

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PHOTO : Oxfam Japan

12月9日(金)に、明治学院大学の白金校舎にて、特定非営利活動法人アフリカ日本協議会(AJF)、特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)、特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン、特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド(HFW)、明治学院大学国際平和研究所(PRIME)の共催で、連続公開セミナー「食べものの危機を考える」2016年度第1回「誰も置き去りにしない!福祉農園の経験から考える全ての人が一緒に暮らす世界と農業」を開催しました。

講演では、明治学院大学教員かつ同大学国際平和研究所所員として活躍される傍ら、見沼田んぼ福祉農園×見沼・風の学校でも事務局長として長く運営に携わる、いわば行動する文化人類学者・猪瀬浩平さんから、荒廃地化した農地を、農家資格のない市民、障害者、高齢者、若者や子ども達が、環境保全型の農業を持続することで農地として復活させてきた見沼田んぼ福祉農園に関わる経験を聞きました。

今年7月に起きた相模原での大事件を、高度経済成長期における首都圏開発における福祉・観光・水源地といった視点から分析して冒頭で提示。これに関連させるように本題では見沼田んぼ保全政策と関東平野の開発との関係性、農村還元方式が崩壊したことで現れた廃棄物処理および障害者政策、そして「分解」をキーワードにしたパーソナル・ヒストリーについての説明があり、武蔵野の豊かな自然と田園風景を写した美しい写真の数々を交えながら、講演は進みました。

各界から高い評価を受けている見沼田んぼ福祉農園によって蘇生したものは耕作放棄地だけではなく、さまざまな障害を抱えた人びと、さらには開発による都市化などの過程で阻害されやすい位置にある人びとそのものであったことは、農と共同体の問題を考える上で大きな示唆を与えるものでした。

参加者からは、現代における、こうしたある種の「楽園」建設の成功には、政治的・社会的な幸運があったことは否めないであろうが、それを実際にかたちにするためには無から有を生み出すかのような苦闘があったに違いなく、そして「農」自体が持つ包摂性によって、分断された共同体の再生が可能となっていったのではないか、とのコメントが寄せられ、こうした「農」の取組みの大きな可能性が改めて示されました。

また冒頭に紹介された相模原の大事件といった悲劇への処方箋ともなりうるような取組みが、身近な埼玉でなされていることに心を動かされた参加者も多かったと思われます。

さまざまな人がそれぞれにできるところで関わることのできる農業本来のあり方を考えるところから見えてくる世界に触れつつ、昨年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げる「誰も置き去りにしない(leaving no one left behind)」を現実の問題として考えるための手がかりに今回のイベントがなったことを願いつつ、寒風吹きすさぶなかご参加くださった皆さまに感謝いたします。

活動:調査提言(アドボカシー)
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