オックスファムは、世界90カ国以上で貧困を克服しようとする人々を支援し、
貧困を生み出す状況を変えるために活動する国際協力団体です。

多国籍企業の租税行動の「あるべき姿」とは?

企業の社会的責任と租税行動を考える

オックスファムは、多国籍企業の租税行動の「あるべき姿」について議論を深めることを目的とした共同報告書を発表しました。

このような議論の機運が高まっている背景には、多国籍企業などによる租税回避問題に対する批判に加え、持続可能な開発の観点から、企業の租税行動の重要性が認識されるようになってきた点があります。人々の基本的権利である保健や教育を市民に届け、インフラ整備等の公共サービスを充実させ、ジェンダー平等の達成のためには、政府は税金から継続的に歳入を得ることを必要とします。一方で、このように安定で健全な社会が基盤にあってこそ、健康で生産的な労働力や購買力のある消費基盤など、豊かな経済活動が可能となる環境が整います。

また、発展途上国では、法人税が政府歳入に占める割合が高いことは、広く知られています。低・中所得国では政府の歳入のうち、16%を法人税収入がまかなっており、高所得国の8%と比較すると2倍にも上ります。そのため発展途上国では、現地でビジネスを展開する多国籍企業から得られる法人税は、開発のための重要な財源であり、その国の市民に届けられる教育や保健医療などの基礎社会サービスの有無や内容を大きく左右すると言えます。

多国籍企業が適切に税金を支払うことは、彼らがビジネスを行う途上国の未来への投資になります。近年、企業による責任ある租税行動が、基本的な人権の達成に大きな影響を与えることも、企業や投資家たちのコミュニティで広く認識されるようになってきました。税金の責任ある運用が多国籍企業には求められ、グローバル経済における租税回避問題の解決が重要です。

報告書では、企業の租税行動をめぐっては、国内ならびに国際的な法律と規則の抜本的な見直しと、その効果的な実施が不可欠だと指摘しています。一方で、責任ある租税行動は、各企業による取り組みをプロセスとして捉えた上で、①透明性、②評価、③発展的かつ効果測定が可能な改善、の3点を基本原則として提示しています。企業による責任ある租税行動の具体的な処方箋は、ビジネス・セクターやビジネス・モデル毎に多様であることに留意した上で、報告書では、包括的で一元的な基準を策定するのではなく、基本原則に沿った取り組み過程と前進を見ていくことが重要だとしています。

報告書では、上述3点の基本原則を発展させた8つの課題分野も提示しています。それらは、(1)租税計画のあり方、(2)公的な透明性・報告、(3)非公開情報の公開、(4)税務当局との関係のあり方、(5)税機能のマネジメントとガバナンス、(6)租税政策の効果評価、(7)税政策に関するロビー・アドボカシー活動、(8)優遇税制策の基準と枠組みの選定、です。

企業が責任ある租税行動のあり方を実践していく道のりには困難も予想されます。大多数の多国籍企業では、企業文化と能力の両面における大きな転換や改善を必要とするでしょう。一方で、持続可能な開発の役割と責任を理解し、長期的な視点でのビジネスの成功に専心する企業は、企業の責任ある租税行動について考え、議論を始め、取り組みを始めるでしょう。

企業の責任ある租税行動は、持続可能な開発の実現を大きく左右する重要な課題です。オックスファムは、この重要な課題について、今後もさまざまな企業と積極的に対話・協働していきます。

「企業の責任ある租税行動へ向けて〜そのあるべき姿を考える〜」
ディスカッション・ペーパー本文(英語)
Discussion Paper "Getting to Good-Towards Responsible Corporate Tax Behaviour"

活動:調査提言(アドボカシー)
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