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開発金融機関と企業の責任ある租税行動

オックスファムは、企業の責任ある租税行動における開発金融機関の役割について検討する共同報告書「開発金融機関と企業の責任ある租税行動(Development Finance Institutions and Responsible Corporate Tax Behavior)」を発表しました。

報告書では、開発金融機関(DFI)がもっぱら公的資金を運用して投融資を行う立場から、企業の責任ある税慣習の構築を促進すべきであること、一方で開発金融機関の現状やあり方が企業の租税慣習改善に必ずしもつながっていないことを指摘しています。

今回の調査では、選定された9つの開発金融機関で一般公開されている指針などの情報について分析を行いました。

開発金融機関の融資先となる企業や金融仲介機関は多くの場合、租税回避地を利用するものの、投融資におけるこうした情報の検討や、投融資先のポートフォリオ情報の一環としての公開をほぼ行っていません。本調査では、調査対象となった9機関中少なくとも7機関が租税回避地で法人登録されている企業や金融仲介機関を投融資先に含んでいることを明らかにし、責任ある租税行動を奨励もしくは求める開発金融機関は皆無で、いずれの機関も投融資先による法令順守といった最低限の責任を求めるにとどまっています。

開発政策を進める途上国政府にとって、自国民に必要な教育および保健医療サービスを提供するための税収確保(国内資金動員 Domestic Resource Mobilization)は非常に重要です。そのためにも、当該国で事業展開する企業は、法人税をきちんと支払う責任があります。民間企業への投融資による途上国での開発を目的とする開発金融機関は、これら投融資による事業活動の開発への影響および結果を正しく評価し、報告するための高い基準の維持が求められます。他方、企業の責任ある税政策や慣習を奨励するために投融資先にしっかりと働きかけていくべきです。

その一例として、投融資を受け、当該国で事業展開する民間企業がそれぞれの税政策を改善し、結果を公表することで、消費者やそのパートナーが企業の税政策を知り、企業側に説明責任を訴追できるようにする必要があります。

現状、開発金融機関の9機関すべてが企業に責任ある税政策の実施を特段求めているとは言えません。当該国での法令順守および法律で定められた報告の実施を求めていますが、それ以上の高い基準は設けられていません。そもそも開発金融機関は途上国での開発を目的とする公的機関であり、投融資先企業へ責任ある税政策(やその慣習)を奨励し、その結果・影響を正しく評価していくべきです。

また、すべての開発金融機関はスクリーニングプロセスの一環として、投融資先企業のオーナーが特定できることを基準にしているものの、情報を公開していません。この情報はマネーロンダリングや租税回避などを防ぐ上で重要であると認識されており、開発金融機関での政策実施という観点からは公開監査や真偽の確認を可能にするものであると、この報告書では指摘しています。

こうした観点からオックスファムは、開発金融機関に対し、以下の取り組みを提言します。

1. 租税回避地を利用しない
開発金融機関が途上国へ投資する際、租税回避地を利用しないこと。また、投融資先の投資スキームに租税回避地が見受けられる場合、開発金融機関はそのスキームが開発途上国の開発効果に与える影響を精査するための影響評価などを実施すべきです。

2. 投融資先の責任ある租税行動を促す
全投融資先に対し、「責任ある税政策」の導入と公開を求めること。「責任ある税政策」では、社会における税の役割の重要性と租税回避地を利用しない方針が盛り込まれるべきです。融資の条件としては、事業の国別報告や企業ストラクチャーを公開すること、過剰な税政策を実施しないことなどを求めていくことで、投融資先の責任ある租税行動を促すべきです。

3. 報告の充実と透明性の向上
市民社会組織(CSOs)との協議に基づいて「責任ある租税行動を促すための投資方針」を採択し、公開すること。投資ポートフォリオ情報、投資先情報および利害関係者に関する税問題・税慣習の影響について報告および公開し、透明性を高めていくことで、投融資先の租税行動が明らかになり、その改善へ向けた力学が働きます。

4. 開発指標として税の視点を確立
開発指標に税の視点を導入し、その位置付けや測定の方法を明らかにすること。また、プロジェクトの事前・途中・事後評価の段階で、受け入れ国への支払額とは別に法人税の支払い額、投融資額に対する比率などを測定すること。法人税の支払い、そして政府の税収確保を開発指標として確立させていくことが必要です。

5. 施策を実施するための内部体制の確保
最適な税政策を発展させ、最良慣行を実行するための十分なコミットメントや新政策と既存政策に関する市民社会組織との建設的な政策論議を確保し、利益相反が生じる可能性のある外部機関に依存しない、透明性あるシステムを構築することが重要です。

9つの開発金融機関は、(1)アフリカ開発銀行 (AfDB)、(2)英国領土開発公社グループ (CVC Group of the UK)、(3)欧州投資銀行 (EIB)、(4)オランダ開発金融会社 (FMO)、(5)米州投資公社 (IIC)、(6)国際金融公社 (IFC)、(7)デンマーク開発途上国基金 (IFU)、(8)フランス・プロパルコ (Proparco of France)、(9)スウェッドファンド (Swedfund of Swden)である。

「開発金融機関と企業の責任ある租税行動」ブリーフィング・ペーパー本文(英語)
Joint Agency Briefing Paper "Development Finance Institutions and Responsible Corporate Tax Behavior"

活動:調査提言(アドボカシー)
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