オックスファムは、世界100カ国以上で貧困を克服しようとする人々を支援し、貧困を生み出す状況を変えるために活動する民間の国際協力団体です。

カンボジア現地レポート

カンボジアの村から 13年間の変化

オックスファムはカンボジアのストゥン・トレン州の農村地帯で、農業技術支援、衛生環境の改善、家畜の提供など、様々な農村支援を13年以上にわたって行ってきました。
オマラス村で、1997年からオックスファムの事業に参加しているパット・ソクンティさん(50歳)を2010年6月に尋ねてお話を伺いました。
夫に先立たれたパットさんは、自分の子どもはいませんが、姪(めい)二人をわが子同然に育ててきました。
「私はポルポト政権前に11学年目で学校を去りました。コメを作るほか、豚や鶏、水牛、牛などの家畜を飼って生計を立てています。姪ふたりは今では15歳と20歳になりました。」

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ストゥントレンでは水牛は土地を耕すために活躍しています
©Timothy Herbert/OxfamAUS


「村でオックスファムが活動を始めるまでは、私たち一家は村でも最も貧しい家庭でした。それまでは一度も農業技術訓練に参加したことはなく、SRI農法(注:System of Rice Intensification-コメ高収量システムなどと訳される。農薬や化学肥料を極力使わず、環境に負担をかけずに多くのコメを収穫する方法。オックスファムはSRI農法をカンボジアで推進してきた。)など、新しい技術については何も知りませんでした。また、「衛生」や「貯蓄グループ」という言葉は耳にしたことはありましたが、何のことかはわからず、基礎的な健康知識も欠けていました。

かつては、汚れた水でも煮沸消毒せずに飲んでいました。私たち家族はよく下痢に悩まされていました。このせいで、姪たちは学校や農作業を休みがちでした。また、治療代に年間10万リエル(約2000円強)も支出していました。トイレが無かったので、用を足すときは200メートル先の森の中に行きましたが、雨季は大変で、虫に刺されたり蛇にかまれないか気が気ではありませんでした。今にして思えば、衛生的にもよいことではありませんでした。
さらに、毎年、穀物が尽きて4ヶ月間は食料不足に悩んでいました。」

「1997年から、オックスファムの活動に参加しています。今では私は、貯蓄グループのリーダーです。また、SRI農法や野菜・果物栽培、家畜飼育や、リーダーシップ技術、貯蓄グループ運営技術、コメ銀行、ジェンダーの公正、プライマリーヘルスケア、衛生改善など、様々なトレーニングに参加しました。そのほか、水をろ過するためのバケツとトイレを受け取りました。

支援によって、ろ過された清潔な水が飲めるようになり、殆ど下痢をしなくなりました。お陰で、下痢治療に払っていた治療費の支出がなくなりました。また、ろ過バケツのお陰で、水を毎回煮沸消毒したり、燃料の薪をたくさん集めなくてもよくなりました。健康になったので、コメ作りや家畜の世話に専念できます。コメを売ったお金で豚を買い、さらに子豚を増やして売るビジネスを始めました。1年で12頭の子豚を売って120万リエル(約2万5千円)得たこともあります。

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水のろ過バケツを大切に扱うパット・ソクンティさん
©By Hour/OxfamAUS


プライマリーヘルスケアのコースに参加して、いろいろなことを知りました。今、私たち家族は蚊帳を張って眠り、トイレで用を足し、食事の前は丁寧にせっけんで手を洗います。病気になったときは、病気を退散させるために祈っていましたが、今ではそれよりも、家の周りを清潔にし、蚊の発生を抑えることに力をいれています。

また、SRI農法や家畜飼育、野菜・果物の栽培のトレーニングに参加したことで、収入が増えました。子豚などを売って得たお金で、食料や衣類、そして、姪たちの文具を買ったり、通学のための交通費をまかなっています。今では、一年のうち、食料が不足するのは1ヶ月にまで短縮されました。」

「将来は、SRI農法によるコメ生産を増やしていきたいです。養豚の規模も拡大し、もっと衛生に気をつけて暮らしていきたい。オックスファムから受け取ったろ過バケツは大切にし、これからもずっと使い続けていきたいです。」

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カンボジアの教科書
©Timothy Herbert/OxfamAUS


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オックスファムは他の村々でもろ過バケツを配布しました。写真はロカ村のドク・レンさん、ドク・サルさん
©Dustin Barter/OxfamAUS
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